innovation talk「ものづくり新論」レポート
- 2014年11月30日
- カテゴリ:Fab Event
【7回イノベーショントーク「ものづくり新論」レポート】
イノベーショントークは、広島県主催で全国から起業家やベンチャー経営者などを全国からお招きし、講演を聞き交流できるイベントです。
そして第7回となる今回は、「モノづくり」がテーマでした。登壇者はとても豪華で、
- 株式会社エムテド 代表取締役 田子 學 さん
- 株式会社ロフトワーク 代表取締役 林 千晶 さん
先ずお二人の基調講演があり、その後ファブラボ広島安芸高田の創設者である、渡辺さんも加えてのトークセッション。
モノづくりに関するそれぞれの価値観を聞くことができ、それはまさに、”新”論。
モノづくりのおもしろさや今後の可能性に一気に惹きこまれてしまう、あっという間のイベントでした。
田子さんが基調講演で語られたモノづくりと、お三方のトークセッションを中心に、”ゆうこ”がレポート致します。
【田子學さんの実践する、”デザインマネジメント”によるモノづくり】
基調講演のテーマは『デザインマネジメントと未来』。
”デザインマネジメント” とは、“デザインを経営の根幹に捉えた経営手法” と定義されており、
その実践に必要な要素、「ロジック」、「センス」、そして、「ラブ」の3つをバランスよく統合することによって実現すると、田子さんは提示しています。
これが、なんとも奥深くておもしろい考え方やアプローチ方法が詰まった手法なのです。
デザインマネジメントで田子さんがこれまで生み出したものは数知れず。家電ベンチャーのamadanaや、鳴海製陶の「OSORO」などは、特によく知られていますが、
どれもわたしたちの身近で、生活を豊かに、楽しくしてくれるものばかりです。
それらはどれも大ヒット。それだけ、たくさんの人に必要とされた証拠です。
ロジック、センス、ラブがバランスよく統合された、つまり、生活に必要な、持ってみたいと感じさせる、製作者の情熱によって実現したモノだということです。
どうやってこのようなモノを生み出していくかというと、コンセプトを徹底的に考えるのだそうです。
コンセプトを考える中で物事を突き詰めていくと、だんだんと本質を捉えることができ、最終的には価値として提供できる。
狭義にとらえず、俯瞰してみること、そして、最大最適化された解をみつけること。それこそが「デザインマネジメント」なのです。
「OSORO」でこれをみてみると、
①ラップって、一度しか使えなくて資源の無駄 → フタを付けて、再利用可能にすれば良い
②使いやすい、よく使われる食器にしたい → 無地で、形の揃ったものが好まれる
③鳴海製陶のすばらしい技術がなかなか浸透しない → ①②を実現する陶器にすれば身近になる
など。
どんどん最適化されて、生まれたものなのだというのがよくわかります。
それはOSOROという食器だけでなく、鳴海製陶の古いブランドイメージを払拭するほどの、影響を生んだのです。
デザインマネジメントとは、既成概念を覆すほど斬新であり、究極の合理的シンプル思考だと、わたしは感じました。
難しいようですけど、めちゃくちゃ素直な思考だとも感じました。色んな固定概念にとらわれ、わたしたちは、なにか本質を見失ってしまっているのではないか。
田子さんの話を聞きながら、わたしはそう思わされました。”常識”だと思っていることを、信じて疑っていないのが現実です。
常識は、必ずしも最適だとは限らないし、少しでも違和感を持ったら疑ってみること。
お話を聞きながら、素直にそれを実行できる頭の柔らかさや発想力行動力、そしてそれが体系化された「デザインマネジメント」に、わたしは感動すら覚えました。
著書の「デザインマネジメント」は今熟読中ですが、わたしも実践してみたい!そう思ってなりません。
ちなみに田子學さん。わたしのイメージとは(良い意味で)ちょっと違っていて、ユーモアあってお茶目な、雰囲気がめちゃかっこいい男性でした・・・。
【田子學さん×林千晶さん×渡辺さんの、”モノづくり”トークセッション】
このイベントで一番長い時間が割かれたのが、トークセッションです。
ざっくばらんな会話の中に、それぞれが持つモノづくりへのこだわりが、伝わってきました。
まとめてご紹介します。
<田子さん>
- 1つのことにとらわれず、幅広く見て学んで、デザインした方がよい。(「専門性なんてクソくらえ!」という会場爆笑の名言も飛び出しました)
- デザインは、全部がつながるもの。すべての人がデザイナーになれるし、経営者こそデザイナーであるべきだ。すべて繋がっている状況下で、なにが適しているかを選び取り、自分自身で実行していくべきものだ。
- 原動力は、なんとってもLOVE、情熱があるかどうか。結局やる意識を、自分でどこまで高められるかが大事で、人に頼ってたら何もできない。
- 「なんで?自分だったらこうするけど」、「それって本当なの?どうして?」と、考える人になろう。いつも必ず伝えることは、「THINK DESIGN」。刺激を受けて自分で考えること。
<林さん>
- 専門性だけでものを生み出す時代は終わったと感じる。どうやって隣接領域をつなげていくか、統合して価値にするかが重要。
- ドーナツ理論という自論を持っている。それは、自分が真ん中にいてもなにもなく、人と人との間にいてこそ成り立つ、いわば他人任せの生き方でもあると思っている。
- 「自分で」と思うと何もできないから、一人でやることはないし、そもそも一人だと何もできない。
- 好きなものは好き、この人好きと思ったら、射止める!恋愛みたいな気持ちが、原動力につながる。
- 一定の文脈、プロジェクト型として、仲間と実行すること。その中にはパッションがあって、さらに自分の手を動かしてこそ、本当の学びにつながる。
<渡辺さん>
- そもそもファブラボの前に、自分がどう生きたいかを考えた。個人として社会と関わりたいという思いが、何よりのモチベーションになっている。
- 探せば仲間がいて、そういう仲間を増やしていくことで、モノも、コミュニティも生み出していけると実感している。
【所感】
個人個人のモノづくりに対する想いや手法があって、だからこそ色んな可能性を秘めているのが、モノづくり。
それはさらに、物理的なモノを生み出すだけでなく、経営や社会を考えることにもつながり、新たなコミュニティや、新しい産業、事業をも生み出すものなのだと知り、果てしない可能性を「モノづくり」に感じました。
聞き終わったときは、おもしろそう!かっこいい!夢があるなあ!と、ちょっと興奮気味だった私でした。
【ファブラボ広島安芸高田 × 田子學さんの「Design Management Workshop」開催決定!】
12/20、21に、ファブラボ広島安芸高田が世界
このイノベーショントークの続編としての、いわば「デザインマネジメント実践編」!
「デザインマネジメント」の手法を学んで、本質を見極め、新たな価値を創造してみませんか?
これは、モノを生み出すと同時に、経営にもコミュニティにも、色んなものにつながる手法です。
生活や、仕事に活かせること間違いなしです。
たくさんのご応募、お待ちしております!